サーミスターは温度によって電気抵抗が変わる電子部品で、NTCとPTCの二種類があり、温度計測や保護に利用されます。

サーミスターとは
サーミスターという名前は「熱」を意味するギリシャ語の「サーム」と、「抵抗器」を意味する「レジスタ」を組み合わせた造語です。その名の通り、サーミスターは温度の変化に非常に敏感で、温度が変化するとその電気抵抗が大きく変わるという特性を持った電子部品です。
サーミスターの種類
大きく分けて、サーミスターには二つのタイプがあります。
- NTCサーミスター(Negative Temperature Coefficient) – 温度が上がると電気抵抗が下がるタイプ
- PTCサーミスター(Positive Temperature Coefficient) – 温度が上がると電気抵抗が上がるタイプ
この二つの特性は、異なる応用分野で利用されています。
サーミスターの原理
サーミスターの温度依存性は、物質の内部エネルギーの変化によるものです。材料によっては、温度が上がるにつれて内部の電子がより自由に動けるようになり、結果として電気抵抗が減少します(NTC)。一方で、別の材料では温度上昇が結晶構造の変化を引き起こし、電子の動きが阻害され、抵抗が上がる(PTC)こともあります。
サーミスターの応用例
サーミスターの応用例は多岐にわたります。以下にいくつかの例を挙げます:
- 温度センサー – 温度測定にNTCサーミスターがよく使われます。
- 過電流保護 – 電源の初期段階でのサージ電流を制限するためにPTCサーミスターが使用されることがあります。
- 温度補償 – 電子回路の性能を温度変化から保護するためにサーミスターが使用されます。
サーミスターの方程式
サーミスターの抵抗値は温度によって変化し、その関係はスタインハート–ハート方程式によってモデル化されることが多いです:
\[ R(T) = R_0 \exp\left[B\left(\frac{1}{T} – \frac{1}{T_0}\right)\right] \]
ここで、
- \( R(T) \)は温度\( T \)におけるサーミスターの抵抗値
- \( R_0 \)は基準温度\( T_0 \)での抵抗値
- \( B \)は材料依存の定数
- \( T \)はサーミスターの絶対温度(ケルビン単位)
- \( T_0 \)は基準温度(通常25℃ = 298.15Kを使用)
この方程式は、NTCサーミスターの抵抗値と温度との関係を表したものです。PTCでは異なる数理モデルが適用されますが、基本的な原理は同じです。
まとめ
サーミスターはその温度感度の高さから、温度計測、保護、補償など多種多様な装置で用いられる実用的な部品です。次回、何かのデバイスを開けてみたときは、小さなサーミスターを見つけてみてください。そのささやかな部品が、デバイスが安定して動作するための大きな役割を担っているかもしれません。
