温度検出器についての解説記事で、熱電対、抵抗温度検出器、サーミスター、赤外線センサーなどの原理と用途を分かりやすく説明しています。
温度検出器とその原理
温度検出器(センサー)は、物体または環境の温度を測定するために使用されるデバイスです。これらのセンサーは、家庭用のエアコンから工業用の大規模なプロセス制御まで、多岐にわたる用途で利用されています。電気と磁気の分野に属する温度検出器は主に、その動作原理に応じて以下のカテゴリに分けられます。
- 熱電対(サーミオカップル)
- 抵抗温度検出器(RTD)
- サーミスター
- 赤外線センサー
熱電対
熱電対は異なる二つの金属を溶接して熱接合点を作り、この接合点の温度変化によって生じる熱電力(ゼーベック効果)を測定することで、温度を検出します。熱電対の電圧は次の式で表されます。
\[ V = S \cdot (T_{\text{接合点}} – T_{\text{基準点}}) \]
ここで、V は熱電対によって生じる電圧、S は熱電対のゼーベック係数、T接合点 は接合点の温度、T基準点 は基準点の温度を表します。
抵抗温度検出器(RTD)
抵抗温度検出器は、金属の抵抗が温度に依存して変化する性質を利用しています。最も一般的なRTDはプラチナ製で、その抵抗値は温度とともに一定の率で変化します。温度による抵抗値の変化は以下のように表されます。
\[ R_T = R_0 \cdot (1 + \alpha \cdot ΔT) \]
ここで、RT は測定温度での抵抗値、R0 は基準温度(通常は0°C)での抵抗値、α は温度係数、ΔT は基準温度からの温度変化です。
サーミスター
サーミスターは、RTDとは異なり、主にセラミックやポリマー材料で作られており、その抵抗が大きく減少するなど、非線形な抵抗変化を示します。サーミスターは温度傾向に応じて主に二つに分類されます。負温度係数(NTC)サーミスターは温度が上昇すると抵抗値が下がります。一方、正温度係数(PTC)サーミスターは温度が上がると抵抗値が上昇します。
赤外線センサー
赤外線センサーは、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することでその温度を非接触で測定します。温度の高い物体はより多くの赤外線を放出するため、この原理を利用する温度検出器は特に遠隔測定に適しています。
これらの温度検出器は、精密な測定を可能にし、身の回りの様々な機器や工業分野で広く利用されています。温度監視は工業プロセス、食品安全、環境モニタリング、医療、研究開発など、無数の応用が存在します。
電気と磁気の現象を理解することは、これらの温度検出器がどのように機能し、私たちの日々の生活や産業にどのように利用されているのかを理解する上で不可欠です。この基本知識を身につければ、テクノロジーの進歩とそれが社会にもたらす利益をより深く理解することができるでしょう。