抵抗器とは
抵抗器は電気回路において電流の流れを抵抗し、制御するために使用される電子部品です。受動部品とも呼ばれ、外部電源を必要としません。材質には炭素、金属、ワイヤ巻きなどがあり、形状やサイズも多岐にわたります。抵抗の単位はオーム(Ω)で表され、色コードや数値でその抵抗値が示されます。
抵抗器の種類
抵抗器にはいくつかの異なるタイプがあり、それぞれ独自の特性と用途を持っています。
- 炭素組成抵抗器: 炭素粉末と結合剤を混ぜ、円筒形に成形して作られます。最も基本的で古いタイプの抵抗器で、安価ですが、他のタイプに比べて耐久性や安定性が劣ります。
- 炭素膜抵抗器: セラミック基板に炭素の薄膜を堆積させて作られます。炭素組成抵抗器よりも安定性と耐久性に優れています。
- 金属膜抵抗器: 炭素膜抵抗器と類似していますが、炭素の代わりに金属の薄膜を使用します。安定性、精度、温度係数に優れています。
- ワイヤ巻き抵抗器: セラミックやガラス繊維の芯にワイヤを巻いて作られます。高電力アプリケーションに使用されることが多いです。
- 厚膜抵抗器: セラミック基板に抵抗性材料の厚膜を堆積させて作られます。SMT(サーフェスマウントテクノロジー)アプリケーションでよく使用されます。
- 薄膜抵抗器: 厚膜抵抗器と似ていますが、使用される抵抗性材料の膜が非常に薄いです。より高い安定性と精度を実現していますが、コストは高くなります。
- 可変抵抗器: 抵抗値を調整できる抵抗器で、音量調整やトーンコントロール、可変電圧分割器として使用されます。
抵抗器のカラーコード
抵抗器のカラーコードは、抵抗器の抵抗値を示すために使用されるマーキングシステムです。各色は異なる数字を表し、特定の順序で配置されています。
- 第1バンド: 抵抗値の第1桁(有効数字)を示し、黒、茶、赤、橙、黄、緑、青、紫、灰、白のいずれかです。
- 第2バンド: 抵抗値の第2桁(乗数)を示し、同じく上記の色が使用されます。
- 第3バンド: 抵抗器の許容差(名目抵抗値からの最大偏差)を示し、金(5%)、銀(10%)、または無色(20%)のいずれかです。
- 第4バンド(存在する場合): 抵抗器の温度係数(温度変化に伴う抵抗値の変化率)を示し、茶(100 ppm/°C)、赤(50 ppm/°C)、橙(15 ppm/°C)、黄(25 ppm/°C)、青(10 ppm/°C)、紫(5 ppm/°C)、灰(1 ppm/°C)のいずれかです。
例えば、茶、黒、赤、金のカラーコードを持つ抵抗器は、1,000オーム(10 x 100 = 1,000オーム)の抵抗値と5%の許容差を持っています。
抵抗器の応用
抵抗器は電子回路において広範囲にわたる応用を持ちます。電圧分割、電流制限、バイアス設定、タイミング制御、温度感知、信号調整、電力散逸など、多様な機能を果たします。
直列と並列の抵抗器
抵抗器は直列または並列に接続することができます。直列接続では、抵抗器が一列に繋がれ、同じ電流が流れますが、各抵抗器にかかる電圧は異なります。全体の抵抗値は個々の抵抗値の合計です。一方、並列接続では、各抵抗器に同じ電圧がかかり、電流は分岐します。全体の抵抗値は、個々の抵抗値の逆数の合計の逆数で計算されます。
抵抗器の製造
抵抗器は、薄膜堆積、ワイヤ巻き、炭素組成、厚膜印刷など、様々な技術を使用して製造されます。製造後、レーザートリミングや機械トリミングによって正確な抵抗値に調整され、環境因子から保護するためのコーティングが施されます。
抵抗率と抵抗
抵抗率(ρ)は材料の電気を導く能力を示す固有の特性で、オームメートル(Ω·m)で測定されます。抵抗(R)は電流が流れにくさを示し、オーム(Ω)で測定されます。これらの関係は、R = ρ (l/A)の式で表されます。ここで、lは導体の長さ、Aはその断面積です。