ローレンツ力とは
ローレンツ力は、電磁気学における基本的な概念であり、電場と磁場を通過する荷電粒子の振る舞いに重要な役割を果たします。オランダの物理学者ヘンドリック・ローレンツにちなんで名付けられたこの力は、電場と磁場の中を移動する荷電粒子が経験する力を説明します。荷電粒子とは、正または負の電荷を持つ原子以下の粒子や原子イオンのことを指し、負の電荷を持つ電子や正の電荷を持つ陽子を含みます。他にも、原子が電子を得たり失ったりすることによって形成されるイオンなど、正味の電荷を持つ荷電粒子も存在します。物質の第4の状態であるプラズマでは、自由電子やイオンの形で荷電粒子が存在します。荷電粒子は電場や磁場と相互作用し、その運動を変える力を受けます。ローレンツ力は電磁気学における基本概念であり、電場と磁場における荷電粒子の運動を動かす原動力です。この理解は、粒子加速器、質量分析法、電気モーターや発電機など、様々な用途において重要です。
ローレンツ力の式
荷電粒子に作用するローレンツ力(F)は以下の式で与えられます:
F = q(E + v × B)
ここで、
- Fはローレンツ力ベクトル(N)
- qは粒子の電荷(C)
- Eは電場ベクトル(V/m)
- vは粒子の速度ベクトル(m/s)
- Bは磁場ベクトル(T)
- ×はクロス積を示します
この式は、ローレンツ力が電気力(qE)と磁気力(qv × B)のベクトル和であることを示しています。電気力は電場の方向に作用し、磁気力は常に荷電粒子の速度と磁場の両方に垂直な方向に作用します。
電場における荷電粒子
磁場(B = 0)が存在しない場合、ローレンツ力の式は電気力に簡略化されます:
F = qE
荷電粒子は電場の方向に力を受けます(電荷が正の場合)またはその反対方向に(電荷が負の場合)。この電気力の影響下での粒子の運動は、初速度を持つ粒子に対して放物線の軌道を描くような一定の加速として記述できます。
磁場における荷電粒子
電場(E = 0)が存在しない場合、ローレンツ力の式は磁気力に簡略化されます:
F = q(v × B)
磁気力は常に速度と磁場の両方に垂直な方向に作用します。その結果、この力は荷電粒子に仕事を行わず、粒子の運動エネルギーは一定です。しかし、その運動方向は変わり、曲がった軌道を描きます。磁場内の