超伝導量子干渉デバイス(SQUID)は多用途に利用される高感度磁気センサーで、超伝導と量子力学の原理に基づく装置です。
超伝導量子干渉デバイス(SQUID)とは
超伝導量子干渉デバイス、通称SQUID(スクィッド)は、非常に微弱な磁場を検出するために使用される高感度な計測器です。SQUIDは、その高い感度のため、医療の診断から物質の研究、さらには天文学まで幅広い分野で活用されています。この装置は超伝導現象を利用していて、量子力学の原理に基づいて動作しています。
超伝導とは
超伝導とは、物質が極低温になると電気抵抗が完全に消失する現象です。電気抵抗がなくなることにより、電流がエネルギー損失なく物質内を流れることができ、この特性がSQUIDの基本的な原理となっています。
SQUIDの基本原理
SQUIDの中心となる技術は「ジョセフソン接合」です。これは二つの超伝導体を非常に薄い絶縁層で隔てることにより作られます。ジョセフソン効果により、この絶縁層を通しても超伝導状態が保たれ、電子はトンネル効果によって絶縁層を「トンネリング」することが可能になります。
SQUIDでは、この接合を含む閉ループに電流を流します。外部からの微弱な磁場がループに入ると、その磁場によって生じる磁束の変化がジョセフソン接合に影響し、ループ内の電流を変化させます。この変化は非常に微細で、量子力学の単位である磁束量子(Φ0 = h/2e、ここでhはプランク定数、eは電気素量)のオーダーです。デバイス内部で生じる電圧の変化を検出することで、非常に精密な磁場測定を行うことができるのです。
SQUIDの使用例
- 医療分野:MRI(磁気共鳴画像法)ではSQUIDを用いて、ヒトの脳内や心臓の微弱な磁場を測定し、活動を可視化する研究があります。
- 物理学研究:超伝導体や磁性体の研究において、SQUIDはその物質が発する極微弱な磁場の測定に利用されます。
- 地球物理学:地球の磁場の微細な変化を検出し、それを用いて地震の予測などの研究に寄与します。
まとめ
SQUIDは非常に高感度な磁気センサーであり、超伝導と量子力学の応用として非常に重要です。その使用は科学技術において非常に広範にわたり、今後も多くの分野でその応用が期待されています。超伝導量子干渉デバイスによって、人間の目に見えない微弱な磁場の世界が明らかにされていくでしょう。