楕円偏光の概要と式を解説し、電場ベクトルの成分と位相差を用いた計算方法をわかりやすく説明する記事です。
楕円偏光の式 | 概要と計算方法
楕円偏光は電磁波の偏光の一種で、光の波動が楕円形の軌跡を辿る現象です。電磁気学において、楕円偏光は多くの光学および通信システムで重要な役割を果たしています。本記事では、楕円偏光の概要とその計算方法について解説します。
楕円偏光の概要
光の偏光とは、電磁波としての光がどの方向に振動しているかを示すものです。基本的な偏光には直線偏光、円偏光、そして楕円偏光の3つがあります。
- 直線偏光: 光の波の振動方向が一定の直線に沿ったもの。
- 円偏光: 光の波の振動方向が円を描くもの。この場合、電場ベクトルの大きさは一定で、位相が90度ずれている。
- 楕円偏光: 光の波の振動方向が楕円を描くもの。楕円偏光は直線偏光と円偏光の中間的な状態です。
楕円偏光は、電場ベクトルが時間経過に伴って楕円軌道を形成することで発生します。つまり、光の振幅が時間とともに変化し、位相差が存在します。
楕円偏光の計算方法
楕円偏光を数学的に表現するためには、電場ベクトル \( E \) を2つの直交する成分に分けて考えます。これらの成分は、通常 \( x \) 軸と \( y \) 軸に沿っています。これらの振幅および位相の関係を式で表すと以下のようになります。
電場の \( x \) 成分と \( y \) 成分は次のように表されます:
\[
E_x = E_{0x} \cos(\omega t + \delta_x)
\]
\[
E_y = E_{0y} \cos(\omega t + \delta_y)
\]
ここで、
- \( E_{0x} \) と \( E_{0y} \) は、それぞれ \( x \) 軸および \( y \) 軸に沿った電場の最大振幅です。
- \( \omega \) は角周波数、\( t \) は時間です。
- \( \delta_x \) と \( \delta_y \) はそれぞれの位相です。
楕円偏光の場合、位相差 \( \Delta\delta \) は次のように定義されます:
\[
\Delta\delta = \delta_y – \delta_x
\]
電場ベクトル \( E \) の軌跡が楕円形となる条件は、\( E_x \) と \( E_y \) が異なる位相であり、異なる振幅を持つことです。
楕円の偏波軸と偏波角
楕円の長軸と短軸は、偏光の主要軸(偏波軸)と呼ばれます。偏波角 \( \theta \) は、楕円の長軸が \( x \) 軸となす角度で決まります。この角度は以下のように求められます:
\[
\tan(2\theta) = \frac{2E_{0x}E_{0y} \cos(\Delta\delta)}{E_{0x}^2 – E_{0y}^2}
\]
楕円の軸比率 \( \epsilon \) は、次のように表されます:
\[
\epsilon = \sqrt{\frac{E_{0x}^2 \sin^2(\Delta\delta) + E_{0y}^2 \sin^2(\Delta\delta)}{E_{0x}^2 \cos^2(\Delta\delta) + E_{0y}^2 \cos^2(\Delta\delta)}}
\]
まとめ
楕円偏光は、光波が楕円形の軌跡を描く現象で、直線偏光と円偏光の中間的な存在です。楕円偏光を理解するには、電場ベクトルを2つの直交する成分に分解し、それぞれの振幅と位相差を考慮する必要があります。これらの概念を通じて、光の様々な特性をより深く理解することができます。
さらに多くの詳細や例題に取り組むことで、楕円偏光の理論と計算方法をより深く理解し、実際の応用に役立ててください。