高温超伝導体とは何ですか?超伝導現象、材料の特性、応用例についてわかりやすく解説します。基礎知識から最新情報までカバー。
高温超伝導体とは何ですか?
高温超伝導体(こうおんちょうでんどうたい)とは、比較的に高い温度で超伝導現象を示す材料のことです。超伝導は、物質が持つ電気抵抗がゼロになる現象で、非常に低温でのみ発現します。しかし、高温超伝導体は、液体窒素の沸点(約77K)以上の温度でもこの現象を示します。
超伝導の基本
超伝導現象は1911年にカメルリング・オネスによって発見されました。通常の導体は電流が流れるときに抵抗を持ちますが、超伝導体は臨界温度(Tc)以下で電気抵抗が完全になくなります。この際、磁場の中で完全メイスナー効果と呼ばれる磁場の排除現象も見られます。
高温超伝導体の発見
1986年、IBMの研究者ジョルジュ・ベドノールツとアレックス・ミュラーがランタン銅酸化物(La-Ba-Cu-O)系の材料において約35Kの超伝導を発見しました。これが高温超伝導体のはじまりです。その後、多くの研究が進められ、液体窒素で冷却可能な90K以上の超伝導体が発見されました。
高温超伝導体の種類
高温超伝導体にはいくつかの種類がありますが、代表的なものを以下に示します。
- イットリウム系超伝導体(YBCO)
- ビスマス系超伝導体(BSCCO)
- 鉄系超伝導体
これらの材料は、異なる化学組成や構造を持っており、それぞれに異なる特性を示しますが、共通して高い臨界温度を持ちます。
高温超伝導体の応用
高温超伝導体は、その特性によりさまざまな分野での応用が期待されています。以下はその一例です。
- 磁気浮上列車(リニアモーターカー):超伝導体の磁場排除特性を利用しています。
- 医療用MRI:高い磁場を生成するために使用されます。
- 送電ケーブル:電気抵抗のないケーブルでエネルギー損失を防ぐことができます。
このように、高温超伝導体は実用化に向けた研究が進められており、将来的な技術革新が期待されています。