金属酸化物バリスタは電子機器の過電圧保護に使用される半導体セラミック素子で、非線形抵抗特性と高速応答で幅広く活躍します。
金属酸化物バリスタの基礎
金属酸化物バリスタ(MOV:Metal Oxide Varistor)は、電圧に依存する抵抗特性を持つ半導体セラミック素子です。MOVは、過電圧から電子機器を保護するために広く使用されています。その名前は「バリ(可変)+スト(抵抗)」という言葉から来ており、つまり電圧が変化すると抵抗値が変動する低い特性を指します。
金属酸化物バリスタの原理
金属酸化物バリスタの主要な機能は、過電圧時に内部のジュール熱を利用して、抵抗値を急激に下げることです。これにより、設定されたしきい値以上の電圧がかかると、バリスタは導通状態になり、異常電圧から回路を守ります。
バリスタの特性は、次の式で表されます:
- V = k * Iα
ここで、Vはバリスタにかかる電圧、Iはバリスタを流れる電流、kは素子に依存する定数、そしてα(アルファ)は非線形指数です。
金属酸化物バリスタの利点
- 高エネルギー耐性:バリスタは瞬間的な大電力を吸収することができます。
- 高速応答:過電圧が生じた場合、バリスタは数ナノ秒から数マイクロ秒の範囲で応答します。
- 安定した動作:長期間にわたり安定した保護機能を提供します。
金属酸化物バリスタの用途
MOVは、家電製品、コンピュータ、通信機器、産業機器など、様々な電気機器の過電圧保護に利用されています。例えば、落雷による過電圧から家庭内の電子機器を守るサージプロテクタに内蔵されています。
まとめ
金属酸化物バリスタは、最先端の電子回路保護技術の1つです。非線形の電圧-電流特性と急速な応答特性によって、重要な装置を破壊的な電圧から守ることができるため、様々な産業界で広く利用されています。MOVは、電子機器の長寿命化と安全性向上に不可欠な要素です。