温度が抵抗に与える影響について解説。高温・低温での電気抵抗の変化をわかりやすく説明し、日常生活や工業利用例も紹介。
温度が抵抗に与える影響とは
物質の抵抗は温度の変化に影響を受けます。この現象は、家庭用電化製品から大型の工業機器に至るまで、エレクトロニクスの設計や運用において非常に重要です。以下では、温度が抵抗に与える影響について詳しく解説します。
抵抗の基本
電気抵抗とは、物質が電流の流れに対抗する性質を指します。抵抗はR、電圧はV、電流はIとすると、オームの法則により以下のように表されます:
V = I * R
ここで、抵抗Rは物質の種類や形状、温度に依存します。
温度と抵抗の関係
一般的に、導体の抵抗は温度が上がると増加します。一方、半導体や絶縁体の場合は、温度が上がると抵抗が減少することがあります。
金属の抵抗
金属の導体の場合、自由電子が電流を運びます。しかし、温度が上がると金属内の原子が激しく振動し始め、自由電子の移動を妨げます。このため、金属の抵抗は温度と共に増加します。この関係は以下の式で説明できます:
R(T) = R₀ (1 + α(T – T₀))
ここで、R(T)は温度Tでの抵抗、R₀は基準温度T₀での抵抗、αは温度係数です。
半導体の抵抗
半導体の場合、キャリア(電子や正孔)の数が温度に依存します。温度が上がると、より多くの電子がバンドギャップを超えて導電帯に移動し、キャリアの数が増加します。このため、半導体の抵抗は温度が上がると減少します。
温度係数
抵抗の温度依存性を表すために、温度係数という概念が用いられます。金属では正の温度係数を持ち、半導体や絶縁体では負の温度係数を持つことが一般的です。
実用例
温度と抵抗の関係は、多くの実用的な応用に利用されています。例として、温度センサーの一種である熱抵抗体(サーミスター)はこの原理を利用して温度を測定します。サーミスターは正の温度係数を持つもの(PTC:Positive Temperature Coefficient)と負の温度係数を持つもの(NTC:Negative Temperature Coefficient)が存在します。
- PTCサーミスター: 温度が上がると抵抗が増加
- NTCサーミスター: 温度が上がると抵抗が減少
これらのセンサーは、温度制御や過熱保護のために広く使用されています。
まとめ
温度が抵抗に与える影響は、材料の種類によって異なります。金属では温度が上がると抵抗が増加し、半導体では温度が上がると抵抗が減少することが一般的です。これらの特性は、さまざまなエレクトロニクス機器やセンサーに応用されています。