振動構造ジャイロスコープ(VSG)は、航空機やスマートフォンなどに使用される回転検出装置で、コリオリ力を基に角速度を計測します。
振動構造ジャイロスコープとは
振動構造ジャイロスコープ(Vibrating Structure Gyroscope、VSG)は、物体の回転を検出する装置で、航空機や宇宙船、スマートフォンなどで使われています。振動構造ジャイロスコープは、物理の電気と磁気の原理を応用して、角速度を測定するためのセンサー作りに使われているテクノロジーです。
基本原理
振動構造ジャイロスコープはコリオリ力という概念に基づいて動作します。コリオリ力は、自転している地球上で移動する物体に作用する見かけ上の力です。同様に、回転するシステム内で振動する物体に対してもこの力が働きます。振動構造ジャイロスコープでは、この力を測定することで物体の回転を検出します。
基本的には、ある軸に沿って振動する構造が別の軸で回転すると、振動の平面が変化し、その変化を検出することで角速度が計算できます。数式で表すと、コリオリ力 Fcは以下のように記述されます:
\[ F_{c} = 2m(v \times \omega) \]
ここで、mは質量、vは振動する物体の速度、\(\omega\)は角速度です。
振動構造ジャイロスコープの種類
振動構造ジャイロスコープには様々な形式がありますが、主に以下の二つに分かれます:
- チューニングフォーク型ジャイロスコープ
- ヘミスフェリカル共振器ジャイロスコープ
チューニングフォーク型は、名前の通りチューニングフォークに似た構造をしており、二つの枝が振動します。一方、ヘミスフェリカル共振器型は、半球状の共振器が振動し、その変化を感知します。
応用
振動構造ジャイロスコープは、自動車の安定性を向上させる目的で電子制御安定プログラム(ESP)や、スマートフォンの画面の向きを自動的に変える目的でオートローテーション機能に使われています。また、航空宇宙分野では、飛行中の航空機や宇宙船の安定性を確保するための重要な部品としても使われています。
おわりに
振動構造ジャイロスコープは、電気と磁気の力を利用しており、私たちの日常生活や技術の進歩において重要な役割を果たしています。このように、物理と工学の原理は、私たちの身近な機器を動かすために欠かせない技術となっているのです。