回路におけるFETの動作原理とその基本を簡単に解説。FETの仕組み、用途、回路設計への応用方法を初心者向けに分かりやすく紹介します。
回路におけるFETの動作原理とは
電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、FET)は、半導体デバイスの一種であり、電気信号を制御するために使用されます。特に、FETは電圧によって導電性が制御されることが特徴であり、スイッチングや増幅回路において重要な役割を果たします。FETには主にJFET(ジャンクション型FET)とMOSFET(金属酸化膜半導体FET)の二種類がありますが、今回はMOSFETに焦点を当てて説明します。
MOSFETの基本構造
MOSFETは、金属(M:Metal)-酸化膜(O:Oxide)-半導体(S:Semiconductor)構造を持つため、その名がつけられています。基本的な構造は以下の通りです:
- ソース(Source): キャリアが注入される端子
- ドレイン(Drain): キャリアが流れ出る端子
- ゲート(Gate): 電圧が印加され、チャネルの導電性を制御する端子
- ボディ(Body): 半導体基板
ゲートとチャネルの間には絶縁層として酸化膜が存在し、この絶縁層のおかげでゲート電圧が直接チャネルの導電性を調整することが可能になります。
MOSFETの動作原理
MOSFETは、n型とp型の2種類があります。ここでは、n型MOSFETの基本的な動作について説明します:
- オフ状態: ゲート-ソース間に電圧が印加されていない場合、チャネルは存在せず、電流は流れません。
- 閾値電圧(Vth ゲートに一定の電圧(Vth)が加わると、n型チャネルが形成され、ソースからドレインへの電流が流れるようになります。
- リニア領域(線形領域): ゲート-ソース電圧(VGS)が閾値電圧を超え、且つドレイン-ソース電圧(VDS)が低い場合、電流(ID)はVDSに比例して増加します。ID = k * (VGS – Vth) * VDS
- 飽和領域: VDSがさらに増加し、VDS > VGS – Vthになると、電流は飽和し一定値を取るようになります。ID ≈ \frac{k}{2} * (VGS – Vth)^2
FETの応用例
FETは高入力インピーダンス、低出力インピーダンス、大電流制御特性を持ち、多くの電子回路に応用されます。具体的な応用例としては:
- スイッチング回路: 高速かつ低消費電力なスイッチング素子として利用されます。
- 増幅器: 高い入力インピーダンスを活かして信号の増幅に使用されます。
- 電源回路: 電圧レギュレータやDC-DCコンバータなどに使用されます。
まとめとして、FET、特にMOSFETは、高効率、低消費電力で動作することから、現代の電子機器には欠かせないデバイスとなっています。その基本的な理解を深めることは、電子工学の初心者にとって非常に重要です。