ホール電圧の概要、導出方法、応用について解説。導体や半導体の電気的特性評価やセンサー開発に役立つ基本原理を紹介。
ホール電圧の式 | 概要、導出方法、応用
ホール効果は、1879年にエドウィン・ホールによって発見された現象です。この効果に基づくホール電圧は、電子機器や材料の特性を調べるために広く利用されています。本記事では、ホール電圧の概要、導出方法、そして応用について説明します。
概要
ホール効果は、導体または半導体に電流を流し、その材料に垂直な磁場をかけると、電圧が発生する現象です。この電圧をホール電圧と呼びます。ホール電圧は材料の種類や特性に依存するため、物質の物性評価やセンサーの開発などに利用されています。
ホール電圧 \( V_H \) は以下の式で表されます。
\[ V_H = \frac{IB}{qnd} \]
ここで、
– \( I \) = 電流(アンペア)
– \( B \) = 磁束密度(テスラ)
– \( q \) = 電荷(クーロン)
– \( n \) = キャリア数密度(キャリア数/単位体積)
– \( d \) = 材料の厚さ(メートル)
導出方法
ホール電圧の式を導出するには、以下の手順を踏みます。
- 磁場中でのローレンツ力
- 電場の発生
- 平衡状態
1. 磁場中でのローレンツ力
磁場 \( B \) に垂直な方向に電流 \( I \) を流すと、移動している電荷キャリア(例えば電子)にローレンツ力が働きます。この力 \( F \) は以下の式で表されます。
\[ F = q(E + v \times B) \]
ここで、\( E \) は電場、\( v \) はキャリア速度です。
2. 電場の発生
このローレンツ力により、電子が材料の一端に偏り、電場が発生します。この結果、電流の進行方向と垂直な方向にホール電圧が発生します。
3. 平衡状態
平衡状態では、ローレンツ力と電場による力が釣り合い、以下の関係になります。
\[ q(E + v \times B) = 0 \]
\[ E = -v \times B \]
この式に材料の電気的特性を考慮して、速度 \( v \) を電流密度 \( J \) とキャリア数密度 \( n \) を使って表します。
\[ J = nqv \implies v = \frac{J}{nq} \]
したがって、
\[ E_H = – \frac{J}{nq} \times B \]
電場と電圧の関係より、
\[ V_H = E_H \times d = \frac{IB}{nqd} \]
応用
ホール効果とホール電圧は、以下のような多くの応用があります。
- 測定機器: ホール効果センサーは磁場の強さを測定するためによく使われます。
- 材料評価: 半導体のキャリア数密度や移動度を調べるための基礎的な手法です。
- 産業応用: 自動車の回転速度センサーや位置検出器として使われています。
まとめ
ホール電圧は電流が流れる導体や半導体に磁場をかけると発生する電圧です。これを利用して、磁場の強さや材料の電気的特性を調べることが可能です。また、様々な工業製品にも応用されています。ホール効果の原理とその応用を理解することで、より高度な電子機器の設計や材料の開発に役立つでしょう。