サーミスタは温度変化に応じて抵抗値が変わる半導体素子で、温度管理や監視に用いられるNTCとPTCの二つのタイプがあります。
サーミスタとは?
サーミスタは、「サーモ(熱)」と「レジスタ(抵抗器)」を組み合わせた造語であり、温度によってその電気抵抗が変化する半導体素子です。この特性を利用して、サーミスタは温度センサーとして幅広い分野で使用されています。たとえば、電子機器の温度管理、自動車のエンジン温度監視、また医療用の体温計などに応用されています。
サーミスタの種類
サーミスタには主に二つのタイプがあります。
- NTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient) – 温度が上昇すると抵抗値が下がるタイプです。
- PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient) – 一定の温度に達すると抵抗値が急激に上昇するタイプです。
サーミスタの原理
サーミスタの動作原理は半導体の電気伝導性に依存しています。温度が変わると、サーミスタの材料内部のキャリア(電子や正孔)濃度が変わり、それによって素子全体の電気抵抗が変化します。
NTCサーミスタの特性
NTCサーミスタは温度が上がると抵抗値が下がる特性を持っています。この反応特性は抵抗値と温度の関係を示すスタインハート-ハート方程式で表されることが多いです。
スタインハート-ハート方程式は次のように表されます:
\(1/T = A + B(\ln R) + C(\ln R)^3\)
ここで、\(T\)は絶対温度(ケルビン単位)、\(R\)は抵抗値、\(A\)、\(B\)、\(C\)は素子に依存する定数です。この方程式は、特定の温度範囲でのサーミスタの抵抗値を正確に計算するのに役立ちます。
PTCサーミスタの特性
PTCサーミスタは一定温度(キュリー点)を超えると抵抗値が急激に増加する特性を持ちます。この効果は、PTCサーミスタが過熱から回路を保護する役割を果たすのに有効です。
サーミスタの応用例
サーミスタはその高い感度と簡単な使用方法から、多くの応用例が存在します。
- 家庭用エアコンの温度調節
- 自動車のエンジン温度センサー
- バッテリー充電器の温度監視
- 医療用体温計
まとめ
サーミスタは小さく、精度が高く、反応が早いため、現代の電子技術には欠かせない部品の一つです。NTCサーミスタやPTCサーミスタといった異なるタイプによって、温度監視から保護、制御まで様々な機能を果たします。これらの理解を深めることで、エレクトロニクスにおける温度管理の基本を理解する一歩となります。