ウェーバー:磁束の単位
国際単位系(SI)における磁束の単位であるウェーバー(Wb)は、電磁気学の分野で重要な貢献をしたドイツの物理学者、ヴィルヘルム・エドゥアルト・ウェーバーにちなんで名付けられました。磁束は、ある面を通過する磁場の総量を表すスカラー量で、磁場の強さと面に対する磁力線の向きの両方を考慮に入れます。ウェーバーは、面に対する磁場の全体的な効果や、電磁誘導の場合のような閉回路内での影響を定量化するために使用されます。
1ウェーバーは、1ターンの回路にリンクされた磁束が、1秒以内に均一にゼロに減少する際に生じる起電力(EMF)が1ボルトに相当する磁束として定義されます。つまり、1 Wb = 1 V⋅s(ボルト秒)です。
磁束の数学的定義
数学的に、磁束(Φ)は、面積(A)上の磁束密度(B)の面積積分として定義されます。磁束の公式は以下の通りです。
Φ = ∫∫ B • dA
ここで、
- Φは磁束(ウェーバー、Wbで測定)
- Bは磁場ベクトル(テスラ、Tで測定)
- dAは微分面積ベクトル(平方メートル、m2で測定)
- •はドット積を示します
磁束の重要性
磁束は、ファラデーの電磁誘導法則を理解する上で重要な役割を果たします。この法則は、閉回路に誘導される起電力(EMF)が、その回路を通過する磁束の変化率に比例すると述べています。
磁束の例
ここでは、ウェーバーで測定される磁束の例を3つ紹介します。
- 半径0.03 mの円形ループが、磁力線に垂直な0.4 Tの一様磁場に置かれています。このループを通る磁束は以下のように計算されます:
Φ = B * A = 0.4 T * (π * (0.03 m)2) ≈ 3.39 × 10⁻³ Wb - 長さ0.05 m、幅0.03 mの長方形ループが、0.6 Tの一様磁場に平行に配置されています。磁力線がループの平面と平行なため、磁束は:
Φ = 0 Wb(磁力線がループを通過しないため) - 一辺の長さが0.04 mの正三角形ループが、磁力線に垂直な0.8 Tの一様磁場に置かれています。三角形の面積は A = (辺の長さ2 * √3) / 4 です。このループを通る磁束は以下のように計算されます:
Φ = B * A = 0.8 T * ( (0.04 m)2 * √3 / 4) ≈ 2.21 × 10⁻³ Wb